雪消の道
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雪消の道を私は歩く。まだ寒さが残っている。でも私には、歩かなければならない理由がある。
それは――
いなくなった兄を探す為――。
雪の降る夜の事だった。兄は突然、家を飛び出して次の日の朝になっても帰ってこなかった。
「兄さん……。一体どこにいるの?」
雪消の道を歩く。時々、手先が冷たくなるので、ハァと息をかけて手を温める。これ以上先に進んでも兄はいないかもしれない。でも進まなければならない。一応、確かめたい事があるからだ。
もしも兄がこの道の先に行ったというのならば、目的地は私達の両親のお墓。そこに兄が来たという痕跡があるかもしれない。
両親のお墓に着いた。墓の前で立っていたのは、紛れもなく兄だった。
「兄さん。やっぱりここにいたんだ。何してるの?」
「母さん達、寒いかなって思ってさ。暖かい缶コーヒーお供えしてたんだ」
「兄さん。帰ろう」
「ああ、お前の分の飲み物も必要だな」
それは――
いなくなった兄を探す為――。
雪の降る夜の事だった。兄は突然、家を飛び出して次の日の朝になっても帰ってこなかった。
「兄さん……。一体どこにいるの?」
雪消の道を歩く。時々、手先が冷たくなるので、ハァと息をかけて手を温める。これ以上先に進んでも兄はいないかもしれない。でも進まなければならない。一応、確かめたい事があるからだ。
もしも兄がこの道の先に行ったというのならば、目的地は私達の両親のお墓。そこに兄が来たという痕跡があるかもしれない。
両親のお墓に着いた。墓の前で立っていたのは、紛れもなく兄だった。
「兄さん。やっぱりここにいたんだ。何してるの?」
「母さん達、寒いかなって思ってさ。暖かい缶コーヒーお供えしてたんだ」
「兄さん。帰ろう」
「ああ、お前の分の飲み物も必要だな」
公開:21/11/18 10:48
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