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聞こえる。あなたの声が。
何で、何で聞こえるの。あなたの声が。
5年前に私がこの手で殺して土の中に埋めたはずなのに。
まさか、生きていたの?
どこなの?どこから聞こえるの?
私は声の在処を探した。
しばらくして樹木の隙間から彼の声が聞こえる事が分かった。
風がその隙間を吹き抜ける度に彼の声となり私の耳に聞こえるのだ。
私はそれが分かると即座に倉庫からチェーンソーを持って来てその樹木を切り倒した。
「これでもう私を苦しめる物は無いわ」
私は安堵した。けれども、また別の場所からも聞こえた。
私はその度にチェーンソーで真っ二つにした。

最後には私の頭の中から聞こえた。
だから、私は自分の首にチェーンソーを当て、真っ二つに切り裂いた。
こうして私は私を煩わせるあの声から解き放たれた。
その後、私の体から飛び散った大量の血液はポタリ、ポタリと床を抜け、大地へと帰っていった。
公開:21/11/17 22:19
更新:21/11/17 22:24

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