0
1

「いや~、噂は聞いていますよ。先日、川で溺れていた少女を助けたんだって、あんた偉いね」
「ああ、噂の。歴代最年少で司法試験に受かったって言うすごい人」

「誰だ。誰なんだ。私に成り代わっている奴は。私はそんな事をした覚えはない。私に無断で勝手に評判を上げないでくれ。私を見る皆の期待の目が痛すぎる。絶対に私が犯人を見つけてやる」

「見つけたぞ。お前だな。私の偽物は。どうしてこんなことをしたんだ」

「お前の気持ちは分かるが、もうこんな事はするなよ。男と男の約束だ」

「おい、あの時、私の話を聞いていなかったのか、ちゃんと約束したじゃないか」

「えっ、それは君じゃない別の奴だって。それじゃ、あの時の男は誰なんだ」

「知らないと言われても困るよ。君の周囲に君と同じ顔をした奴は見たことはないのか」

「えっ、目の前に立っている僕だって。僕は違うよ。それじゃ、あの時の男は一体誰だったんだ?」
公開:21/11/17 14:24

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容