右肩叩き券

毎年、誕生日の肩たたき券5枚を楽しみにしていた。ところが今年は2枚らしい。
「残りは年明けね。4枚あげるから」
それは右肩叩き券だという。50日の公示後に業者が決まる入札案件なんだとか。左肩は叩いてくれないのかしら。
「用途を限定しないと箪笥の肥やしになるだけじゃない」
確かに肩たたき券を使いきることはない。それでもおまえには発行権があるのだろう。外部に委託する必要性はなんなのだ。
「箪笥の肥やしにならないよう用途を限定するのであります」
何を聞いても言うことは同じだ。有効期限まであるというではないか。せめて一番安い業者が落札するんだろうな。
「右肩縛りでだいたい排除できてるから」
学校でそんなことを勉強してるのか。
「その指摘は全く当たらない」
明るい老後には肩たたき券の箪笥預金が必要なのだよ。右肩縛りで左肩が叩けるのか。左肩だってこるんだよ。もうすぐ誕生日、俺は左拳を挙げて抗い続ける。