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相撲部屋で料理人をやっている私は毎日が戦いだ。
朝の鍋は味噌汁から始まる。酒飲みの連中には蜆汁も出してやろう。最後の一滴までしっかり味わうように。
夕食の鍋は弟子達の様子を見てから決める。調子の悪そうな子を呼び出しては話を聞くのも私の役目である。
弟子達は親元を離れ、この部屋で集団生活をしている。ホームシックになるのも当然だ。調子の悪さの原因の多くは実はそこにある。また、食の変化は体調にも大きく及ぶ。
話を聞いた私は弟子の故郷の鍋を作る事にした。実家の味を再現してはもう一踏ん張りしてもらおうと思っている。
中には鍋の味で故郷が恋しくなり、辞めてしまう弟子もいる。引き留めはしない。それで辞めるのなら、それまでだったという事だ。
最近では外国人力士の弟子も増え、鍋のレパートリーはどんどん増えていく。
ジンギスカンにアクアパッツァ。和洋折衷なんでもあれ!
相撲部屋の料理人はいつも力士と共にある。
公開:21/11/15 20:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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