ゲームは一日一時間が限界です

後五分で工場の昼休憩が終わる。ゲーム部部長は高らかに宣言した。
「私たちは今日、ゲーム時間を延長することに成功した」
部員たちは目を輝かせた。
「この朝の早い重労働に光明が差したんですね」
「そうだ、家で寝るしかない我々中高年の至福、昼休みのみんなでゲームが延長されるのだ」
「おお」
「うむ。実は上との掛け合いの中で準備時間の延長が認められたのだ。我々も歳だからな。体を労わるようにと」
「この会社にそんなこと言われるなんて」
ゲーム部のメンバーは延長時間の１５分を利用して時間が足りずにスコアを伸ばせなかったゲームに大いに集中しめいいっぱいみんなではしゃいだ。
「おい、この部品ねじついてないぞ。おい、聞いているのか」
「あ、はい。すみません」
「お前らミスが多いぞ」
「「すみません」」
帰り際部長が恥ずかしそうに「ゲームは一時間が限界だな」とつぶやいた。
「歳だな」とみんな思った。