捨て犬の恩返し

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あれは雨の日だった。一匹の子犬が捨てられていた。

「お前、捨てられたのか?お前も一人か。俺もだ」

気が付けば俺は、子犬を抱いてマンションへと帰っていた。

「本当はペット禁止なんだ。でもまあ雨が止むまでの間、少しなら面倒見てやってもいい」

子犬はよく懐いた。そのせいか雨が止んでも、なかなか元居た場所に返せずにいた。

「……次の飼い主が見つかるまでだぞ」

俺はSNSを使い、子犬を飼ってくれる人を募集した。可愛いとコメントし、拡散してくれるユーザーもいたおかげで、引き取ってくれる人はすぐに見つかった。

それから一年が過ぎた。
ある日、子犬が捨てられていた場所に犬と一人の女性がいた。

「お久しぶりです。この子がどうしてもここを動かなくて」

そして現在、俺は彼女と交際している。

「お前、俺が一人だから出会わせてくれたんだな。ありがとよ」

そう言って犬の頭を撫でてやった。
公開:21/11/13 10:32

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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