無視され続けた便り

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「R少佐、発見しましタ」
フル充電を示すLEDが灯りRは充電ポッドから起き上がる。

「奴はこんな所二隠れてイタのか。ここは何ダ?」
Rは山積みになった埃まみれ紙の束から一つを取り上げた。
「人類は『郵便局』ト」
「ナルホド、我々二は不要な施設ダ。死角ダったか」
「少佐、こちらです」
地下に案内されると臭気センサーが反応した。
脱走者の遺体が転がる。
「外傷ハ無いナ」
「有毒物質を摂取したヨうデス」
「ココの部屋は何ダ?」
「…『便所』デスね。奴らは定期的に毒素を排出シナイと生きていけまセん」
「不便ダな…我々デ言うエラーログか?」
「恐らくハ。しかしロクに見ず水に流スようですが」洗浄レバーをひねる。
「身体の異変二気づク機会はいくらデモあっただロうに。理解不能ダ」
Rは鏡に映った人類を模した己の容姿に眉をひそめた。

「自ラ『便』と名付けてオいて身体からの便りに耳を傾けないトハ…愚かダ」
SF
公開:21/11/12 10:18
更新:21/11/12 11:44

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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