ほめるジュエル

人生でここまで丸い石を見たことがなかった。
河川敷でたまたま見かけたのだが、あまりに感動して持ち帰ることにした。
「本当に綺麗だ」
そう一言こぼすと、丸い石は少し輝く。
気のせいだとも思ったが、私はもう一度同じ言葉を言う。
すると、石は先ほどよりも光る。
どういうわけか分からないが、褒めるとどんどん煌めくようだ。

ただの石ころだったのが、宝石だということにも気がついた。それも、この世のものとは思えないほど、奇妙な輝きを発している。
褒めれば褒めるほど、進化することにまた感動。

「あれ、おかしいな」

ふと部屋の中で顔を上げると、周りの風景が真っ暗になっていた。
これまで見えていた世界がそこにはなかった。
ただし、一つだけ見えるものもある。
それはあの宝石。ただし、それは先程までとは違い歪に光っていた。
よく見ると、その宝石には私の目が入っていた。私はこの宝石に目を奪われてしまったのだ。