自分国

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その国の旅行者はバックパッカーばかりだ。
旅の目的は…人が来た。実際にご覧いただこう。

「はじめまして」二十歳過ぎの青年は会釈した。
「君は『探し』だね。その目で分かるよ」
「ということは貴方は…。実際この一週間『自分探し』にしか出会えなかったので」
「もしそうだとしても君のお眼鏡に叶うかどうか。先ずは乾杯でもしよう」
「ご謙遜を。決めるのは貴方です」
二人は酒で乾杯し、お互いの素性を語り合った。

「…では、貴方も以前は自分探しでこの国へ?」
「そうだ。私も君のような目をしていたよ」
「なんというか。まだお若いようですが…もう良いのですか?」
「実は私もここである人物から譲り受けたんだ。この『自分』はかなり個性的だぞ。いいのか?」
「はい。貴方のような『自分譲り』を探していました」
「これも運命だな。君に譲ろう」

翌朝
近くの河に青年の姿。
何やら布に包まれた大きな物を流している。
ホラー
公開:21/11/14 07:46

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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