朝の権利

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朝の時間は特に忙しい。出勤前の父、遅刻するギリギリまで寝ている娘、朝食を用意する母。これは、そんな朝に心の余裕を作ろうとしたとある家族のお話。
「それでは、今から家族会議を始める。参加者は父親である俺、母、娘の3人だ。有意義な会議にしよう」
「で、議題は朝の権利だったわね」
「忙しい朝だからこそ、心の余裕を持たせるために、一人ひとつ、朝の時間だけ権利が与えられるというものだ。どんな権利にするかを今から決める」
「めんどくさいなぁ。私宿題しなきゃいけないんだけど」
「じゃあ早く決めてしまおう。まずは俺から。俺は『出勤前に一服する』権利にする」
「いやよ。吸うなら外で吸ってよね」
「真冬に外出たらやばいって。これは決定だ」
「じゃあ次私。私は『夫がタバコを吸うとき外に追い出す』権利にするわ」
「じゃあ次私ね。私は『父親のタバコを捨てる』権利にするわ」
父には、朝ただ家の外に出る権利のみ残った。
その他
公開:22/03/03 17:00
会議 権利

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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