忘却ガム
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「一粒噛むと一つ嫌な事が忘れられる?」
いつものガムのボトルの横に見かけないパッケージのボトルが奥の方に一つ。
手に取るとそんな説明書きが目に入った。
ガムを噛むと記憶力が上がるってのは聞いたことがあるけど…。
ま~物は試しだ買ってみるか。ちょうど、上司に嫌味を言われて今日の気分は最悪だ。
実験するには丁度いい。
帰り道、早速、ガムを一粒口に入れる。噛むと味がなくなっていくのに合わせて不思議と嫌な気分もなくなっていく。ついに味が無くなってガムを口から出すと何が嫌だったのかさえも忘れていた。
これはいい。
彼女に聞かされるつまらない愚痴も、電車でぶつかってきた奴のことも、どんな些細な事もこのガムを噛めばきれいに忘れられた。
ある日、俺は鏡の前で味の無くなったガムを口から出した。
「まだいる。誰だ、こいつ」むかつく顔の見知らぬ男がこちらをのぞき込んでいた。
いつものガムのボトルの横に見かけないパッケージのボトルが奥の方に一つ。
手に取るとそんな説明書きが目に入った。
ガムを噛むと記憶力が上がるってのは聞いたことがあるけど…。
ま~物は試しだ買ってみるか。ちょうど、上司に嫌味を言われて今日の気分は最悪だ。
実験するには丁度いい。
帰り道、早速、ガムを一粒口に入れる。噛むと味がなくなっていくのに合わせて不思議と嫌な気分もなくなっていく。ついに味が無くなってガムを口から出すと何が嫌だったのかさえも忘れていた。
これはいい。
彼女に聞かされるつまらない愚痴も、電車でぶつかってきた奴のことも、どんな些細な事もこのガムを噛めばきれいに忘れられた。
ある日、俺は鏡の前で味の無くなったガムを口から出した。
「まだいる。誰だ、こいつ」むかつく顔の見知らぬ男がこちらをのぞき込んでいた。
ミステリー・推理
公開:22/03/06 23:15
横浜在住のシロヒロです。
皆様の心の琴線に触れる作品を投稿できたら嬉しいです。
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