幽霊の正体

子供の頃、亡くなったお爺ちゃんの体からふわり…と何かが浮かび出るのを見た。
それはふわふわと漂うと空へと向かっていく。子供の頃、あれはお爺ちゃんの魂だ…なんて思っていた。
それは半分正解で、半分間違いだった。お爺ちゃんの体から出てきたもの、あれはクラゲだった。
それに気付くと世界が変わった。外に出れば沢山のクラゲが宙を泳いでいるのが目に映る。
クラゲの頭を覗き見る。つるりとしたそこには人の姿が映し出されていた。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、なんて言葉があるが幽霊の正体はクラゲの頭に映った生前の姿なのかもしれない。
クラゲの頭に映った人の顔は千差万別。穏やかな顔もいれば、睨みつけるような険しい顔をしているものもいる。
険しい顔をしているクラゲには要注意。そのタイプのクラゲは毒針でこちらを刺してくる。見えない事をいい事に容赦なく刺してくる。
金縛りの正体ってもしかしてこれじゃないか？と思った。