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空を見上げると月明かりに照らされた雲が僕の頭のすぐ上を凄い速さで流れていた。
風が強いのはあそこも同じらしい。「急ぎついでに僕も乗せて欲しいな」
伸ばした手は空に届きそうだったが段々空しくなり、僕は靡く毛に添えた。
朝は雲一つ無い快晴だった。あれだけの強風だ。辺りの雲はみんな流れてしまっただろう。
「勿体なかったな」
ヘリコプターが凄い音を上げて去っていった。今日はさぞかし見晴らしが良いだろう。
「気分がいいなら僕を乗ってけくれてもいいんじゃない?」
ヘリは冷たく山の向こうへ消えた。
空は再び何も無くなった。太陽が忘れるなよと背後から僕を照らすけど、君は僕の子分だ。僕が君の存在を毎日知らせてあげてるんだからね。
何もない空は、僕を置いて行った気にさせ不安になった。
飛びたい。早く僕も飛びたい。
後から声がした。
「僕ら烏骨鶏には縁の無い話だ。考えたところで烏骨鶏だけに滑稽さ」
その他
公開:22/03/06 13:22

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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