シーソー

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息子は外で遊びたがった。コロナ禍で家ばかりでいるのは、あまりに退屈そうだ。子供には我慢ならないのだろう。だから私は、たまにはと思い、息子を連れて公園に行った。

「お父さん。シーソーに乗りたい」

息子はそう言ってシーソーに向かって走っていった。そして息子はシーソーに乗ると、不思議なことが起きた。

なんと息子が乗った側のシーソーが重みで下に降りたと思ったら、今度は息子の側が上に上がったのである。

「へっ!?ええ!?」

一体どうしてシーソーが勝手に動いているんだ!?
そのあまりにも異様な光景に驚いている。しかし息子は、とても楽しそうだ。

「そっちに誰かがいるのか!?」
「透明人間さんだよ」
「透明人間!?」
「うん。僕にだけは見えるんだ」

そうか。お兄ちゃん。君なんだね。
昔、嫁が流産した。息子には本当は、お兄ちゃんがいるはずだったんだ。
……だから今、遊んでくれてるんだね。
公開:22/03/06 11:36

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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