僕の神様

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「今日の私は君の願いを何でも一つだけ叶えられる神様だ。さ、私に願いを言ってごらん」
入院生活をしている僕の唯一の友人が突然そんな事を言ってきた。
「何でも?」
「何でも。君の病気をすぐに治してあげられるし、お金持ちにだってなれる。ただし、願いは増やせない」
「何で自分の願いを叶えないの?」
「私は神様だから願いなんてないんだ」
それじゃ…と、僕は願いを口にした。
途端、泣き崩れる友人。えっ?何?どうしたの?
「何でもない…ただ…凄く嬉しくて」
涙を流し笑う友人。変なの。

願いは叶ったようだ。僕は友人に願った。「僕と同じ時を生きて」と。
あの日、友人は死ぬ運命だったらしい。幼くして死ぬ友人を哀れに思った神様が願った本人の延命以外、何でも一つだけ願いを叶えてくれると言ったようだ。
その願いを僕にくれた友人。思わぬ結果になって神様も驚いているだろう。
僕らは90歳を超えた今も元気に生きている。
公開:22/03/05 20:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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