レジ横の悪魔

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いつものコンビニへ食塩無添加ナッツを買いに行った。
レジには2人並んでいた。
僕の前の20代と思われる女性がしきりにレジ横のスイーツに目配りしていた。
失礼と思いながら、彼女の持つカゴの中身を見ると冷凍加工食品とスナック菓子が山盛りだった。
レジ横の饅頭やようかんなどの和菓子、そしてドーナツが魅力的に見えるのだろう。
もう、彼女にしたら喉から手が出るくらい手に入れたい商品だった。
彼女は心の中で悪魔と戦っていた。
買おうか、やめようか、長期戦の様相を呈している。
僕は一瞬の隙を見逃さなかった。
「あなたのカゴと僕のカゴを交換しましょう。」
「あぁ、はい、ありがとうございます。」
すんなり交換でき、彼女はレジで精算を済ませて帰っていった。
彼女の“決断疲れ”を見逃さなかった。
心の中でガッツポーズしながら、彼女のカゴの商品を戻していた。
レジ横の悪魔。
日々、戦いが繰り広げられている。
ファンタジー
公開:22/03/09 07:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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