夜想曲

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「ノクターンは好きかしら?」

彼女は僕にそう言うと、ピアノを弾き始めた。その音色と美しい旋律に僕は聞き惚れてしまう。白いドレスを着た君は、とても神秘的で、まるで天使が目の前にでもいるかのような感覚になる。

「綺麗だ……」

僕は思わず声を出した。

「良い曲よね。風のノクターン」
「あっ、ああ……」

本当はピアノではなく、君の姿が綺麗で思わず声を出したという事は、恥ずかしくて言えなかった。

「夜の静けさの中でピアノを弾くのは、とても好きなの」
「君の場合、昼も弾いてそうだ」
「弾かないわよ、夜だけ」

昼間にピアノを弾く君の姿も見てみたいと思った。カーテンから溢れる太陽の光がピアノと君を照らし、君は本物の天使になってしまうんじゃないか。そう思った。

「どうして?」
「昼だと色んな人に見られるからよ。あなたは特別」

そう言ってこっちを見て微笑む彼女を見て、僕は顔を赤らめた。
公開:22/03/02 10:37

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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