怪獣

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 怪獣というものはいったん出現したらしつこく何度も現れるものというのを、当の怪獣である私自身まったく把握してなかった。私が上陸してみると、都市はもう跡形もなく破壊されていた。遅すぎたのだ。
 仕方がないのでそこら辺をぶらぶらして過ごしていたのだが、嫌味ばかり言われる。暇そうだとか、お前らのせいだとか。あんまり文句を言われるので都市の再建に協力した。それが間違いだった。具合が悪くなり倒れてしまう。やけに腹が突っ張る。悪い予感は的中した。卵だ。
 産卵中で動けない私に人間どもが襲いかかる。
 私の産んだ卵を片っ端から人間どもが勝手に持っていく。次々と持ち去っていく。殻は砕いてコンクリートに混ぜて使う。卵黄は栄養になる。最初から人間の目的は、私の卵だったのだ。私は卵を産み続けた。産みながら、海亀みたいに泣いていた。返してほしい。私の子供だったはずのものを。都市を破壊するはずだった子供たちを。
その他
公開:22/03/02 05:04

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