専門店

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 飲食の専門店が苦手だ。駅前などに店を構える小さな料理店というものに興味だけはあるものの、いつも外食にはついチェーン店を選んでしまう。なのに先日、うっかりコンビニの専門店に入ってしまった。
 一歩入って間違いに気づいた。妙に薄暗い。空のテーブル。「いらっしゃいませ」シャツ姿で細身の中年男性。「ええ、コンビニです」笑顔は意外と人懐っこい。夢だったんです、ここでコンビニ開くのが。
 席に着いてしまった。若い女性が水とおしぼりを置き、そのまま突っ立って動かない。メニューがあった。開く時の、ビニールが剥がれる感触。お茶、明太子おにぎり、公共料金の振り込みを頼むと、彼女は棒立ちでこちらを凝視したまま、袋、おつけしますかと私に尋ねた。コンビニで買い物したら、袋が必要か聞かれるのは当たり前なのに。なぜこの店を訪れる客はみな、そんな基本も忘れてしまうのか、その理由が分からない、心底分からないという顔で。
その他
公開:22/03/01 17:25

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