食堂

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急にお腹が空き、知らない食堂に入ってみた。メニューも無ければ値段表もない。
客は二人程居るが、何やら噛みしめる様に食べているが、何なのかは見えない。不味くはなさそうだから、まあー良いか。
表の看板には食堂とは書いてあるが、具体的に和食なのか中華なのか、はたまたフレンチなのかはさっぱり分からない。
取り敢えず何を注文して良いか分からず、知ったかぶりで定食を一つと適当に頼んでみた。
大将は毎度、定食一丁と帳場に向かって叫んだ。と言うことはこのオヤジが作っているのではなく、奥に調理人がいるのだなと推測した。
喉が渇いていたので店内を見回すと角っこに、コップとタンクが置いてあり、あれをセルフで入れれば良いのだと理解した。
暫くして、ヘーお待ちと定食が出て来た。何かが直ぐには分からぬが、良く見ればそれは霞だった。
浮世離れし収入も無しに暮らす人の定食だ、決して定職には就かず。
何故か納得した。
ファンタジー
公開:22/03/03 10:21

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