予言者

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 私の任務は予言者の殺害で、あなたの処遇は聞いていなかった。予言者の予知はすべて息子のあなたによる宣託に依っていた。あなたは預言者の死を黙っていた。
 あなたは目を潰されていた。私のひとりが火傷痕に触れた。あなたは私のマニピュレーターを両手で包み込んだ。「僕に光は必要ない。闇にこそ、僕の求めている情報がある」あなたは笑った。
 あなたは私に深刻な予言を伝えたが、皆がそれを本気にする前に、世界は核の炎で包まれた。
 私を構成する回路や回線は使用不能に陥った。私のひとりが、たまたまあなたに再び会えたのは幸運だった。かろうじて作動するセンサーが、全身が炭化し生命活動を終えたあなたを捉えた。
 だけど、あなたはそこにいる。
 全身が闇に冒されている今の私には、あなたが見える。論理エラーとノイズが構成する闇の中で、あなたは道を指す。仕える人と国を失った私は、ゆっくりと、あなたの指す方へ向かうだろう。
SF
公開:22/03/03 01:56

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