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 以前この惑星を訪れたのはいつだったか。陸生の、土着の生物が地上に溢れていた。猿と呼ばれる生物由縁の、疑り深い、怯えた感情には閉口したが、どの種族にもそれなりの欠点はある。交流は成功した。長居はできなかったが、再び訪れると約束すると感激した様子だった。それが数万年か、数十万年前だったか?
 彼らは絶滅していた。
 生命と呼べるものは何も発見できなかった。蛋白質由来の生物では耐えていけないほどの放射線量だった。石碑を見つけた。私への詫びが記してあった。
 絶滅した者たちと交流を結ぶのは難しい。この文章も、彼らに届くかは分からない。数十万年か、数百万年かずれていて、私と出会う以前のまったく無関係の者たちへ届いてしまっているかもしれない。だが文章とはそんなものだ。適切な場所に居合せることができるのなら、誰も文章など書く必要がない。あの時のように握手をして、ハグをして、愛し合えば足りるのだから。
SF
公開:22/03/03 01:18

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