一撃必殺の剣

伝説の剣があった。それが一撃必殺の剣だ。相手に一振りして傷をつける事ができたなら必ず倒せるという剣だ。その刀を打ったのは、名工として名高い暁治忠という男。暁の最後の剣。それこそが一撃必殺の剣だ。なぜ一撃必殺の剣が暁にとって最後の剣になったのかというと、暁が刀を打っている最中にうっかり手を切ってしまい、絶命してしまったのだ。暁は名工であると同時に呪術師であった。死の呪いを剣にかけていたのだ。

――その刀で斬った者、全てを殺す。

と。

一撃必殺の剣は、戦場で活躍した。多くの血を吸い、更に呪いは強力なものへと変わっていった。そして呪いの効果が変わった。

――その刀に触れた者、全てに死を。

こうして一撃必殺の剣は、誰も触る事ができなくなった。しかし剣は寂しくなった。誰も触ってくれなくなることで、自身の存在意義が分からなくなった。だから呪いを解いた。

――その刀に触れた者、俺と友達だよ