コツコツと

0
2

数年前に比べて格段に重くなったお菓子の缶。
軽く揺すると、ガシャガシャと鈍い音が聞こえる。
きっと、そろそろ目標に届く筈…。
少し錆びた蓋を開けて、中身を机の上にぶちまけ、合計する。
「ヤッター!」
やっと念願のアレが買える!
善は急げ! 今から買いに行かなきゃ!
ザーッと硬貨を戻し、お気に入りの帽子を引っ掴む。
「行ってきまーす!」
オモチャ屋へ一心不乱に駆ける。
「アレちょーだい!」
「お金は持ってきたのかい?」
「うん! ほら!」
勢いよくガッと缶を置くと、おっちゃんは一瞬驚いたみたいだけど、直ぐに蓋を開けて数え始めた。俺はジリジリと待つ。そして、おっちゃんは、少し困った顔をした。
「…坊主、残念だが足んねぇぞ。あと75円。」
「エーッ! ちゃんとあるよ! 2500円!」
俺の言葉に、おっちゃんは言いにくそうに足りない理由を教えてくれた。
「…坊主、消費税って、知ってっか?」
その他
公開:22/03/02 12:00

揚羽( 日本 )

物書きの端くれになりたい一般人E

空想の世界で遊ぶことが好き

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容