white fish

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ある朝、うちの民宿に泊まったお客さんが、寝ていると周りの木々が風にゆれてまるで潮騒のようだったと言った。
それから毎晩、私は電気を消して布団に入ると、耳を障子の外にそばだてた。
山の潮騒。
その満ちては引いてを繰り返すを聞いていると、不意に大きな影が障子の向こうを横切った。慌てて外に飛び出した私の目の前に白い巨大魚が浮かんでいた。巨大魚はその大きな口を開けてあっという間に私を飲み込んだ。
私・・どうなったの?え?飛んでる。私、飛んでる!星の海だ。わあ、月が近い!あれ?どんどん急降下していく!あ、海!うわ、うわわわ!ぶつかるっ!
私はぐっと目を閉じた。
大きなやさしい何かが私を包んだ。
気がつくと、私は散りゆく山桜の下にいた。
白魚がゆったりと夜の海を泳いでいる。
その時、一陣の風が吹いた。
白魚は無数の花の鱗となり春の闇に吹かれて消えた。
ファンタジー
公開:22/02/27 12:28

杉野圭志

元・松山帖句です。

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