ノスタルジアに包まれて

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私は茜色の空の夕日が沈むのを待っていた。
この丘からは、あの観覧車も見える。
彼が交通事故で急死して一年が経つ。今日は彼の命日だった。
観覧車が好きだった私たちは、学校帰りにあの観覧車に乗って学校でのたわいもない事や将来の事など話していた。
「俺は将来、弁護士になる。だから法学部へ行くよ。未希はどうするの?」
「え、私はまだ将来の事決めてないよ。」
・・・あの頃は楽しかったなあ。
彼がいなくなって、あの観覧車に乗れなくなった。
心にぽっかり穴が開いてしまった。

(寒い冬なのに温かい風を感じる。)
背中から首周りにかけて温かいベールに包まれるような柔らかさを感じた。
「明日、いつもの観覧車に乗ろうよ。」
私の左耳の方から彼の声が聞こえた。
茜色の空が滲んで見えた。温かい涙が私のぽっかりと開いた穴を塞いでくれた。
前向きになれとの彼からのメッセージ。
明日、観覧車に乗って、夕日を見よう。
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公開:22/02/28 07:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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