赤ちゃん返り

弟が生まれてから、家に僕の居場所がない。
両親は弟につきっきりで僕の相手をしてくれない。
悔しくて、羨ましくて、僕も赤ちゃんみたいに泣いた。
そしたら僕は近所のお姉さんの家に預けられた。
「今日から暫くの間、よろしくね」
優しく微笑むお姉さんにドキッとする。大好きなお姉さんに恥ずかしい姿は見せたくない。
僕は赤ちゃんのふりをやめて、お姉さんにふさわしい男になるよう大人ぶってみた。
そしたらお姉さんは大喜びしてくれた。俺達、将来絶対結婚しような…とキザったらしく言ってみたりもした。

１か月後、お姉さんは赤ちゃんが出来たと大喜び。僕に旦那さんを紹介してくれた。
えっ…お姉さん結婚してたの？
「そうよ。でね、赤ちゃんが出来なくて困っていたところ、君が赤ちゃん返りしたって聞いて招いたの。貴方の中に返って来た赤ちゃん。出てきて今度は私のお腹に入って来てくれたの」
失恋を知った僕は少し大人になった。