トーテムポール

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 父は一軒家と、トーテムポールを遺して亡くなった。一番上に父の顔、次に天国の母、私。でも一番下に彫られた女性が誰か分からない。
 トーテムポールについて調べてみた。するとモチーフを刻むのは対応する伝説や物語を財産として主張するためらしい。
 私や母は父の所有する物語ではない。完成披露の儀式もなかった。
 結局女性の正体は本棚の美少女アニメDVDから判明した。パクリかよ。
 きっっしょ。
 アニメを何度も見た。美少女が夢に出た。何日も彼女を夢に見て説得した。両親を呼び出させた。夢の中で私は父に散々説教し、私自身の柱を彫り上げ、母と美少女とで完成披露の祝杯を上げた。
 父の柱は燃やした。
 私の夢には今でも私のトーテムポールが立っている。父を倒し、女たちを解放した物語が刻まれている。柱には裸の父が縛られている。父はいつも眠っている。私の夢の中で父がどんな夢を見ているか、私に確認する術はない。
その他
公開:22/02/28 18:00

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