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昔から美人で有名な友人がいる。生まれ持った顔が美しいだけでなく、センスが良く、服装や髪型もいつも流行を抑えつつ似合うものを選んでいる。自分磨きを惜しまない彼女は、男女問わず人気がある。

そんな彼女は久々に会うと片目に眼帯をしていた。
「ああ、これ?ちょっとね」
思わず心配したが彼女は明るく笑うので、私もポジティブなことを伝えたくなった。
「今の髪型も素敵ね。私は今日みたいな雨だとすぐうねってしまうから、真っすぐな前髪、羨ましい」
「ふふ、私もくせ毛なのよ。だけど、髪をハリガネアートみたいにできるスプレー、知ってる?それを使えば髪はハリガネみたいに自由自在、形状記憶できるの。梅雨時期の湿気だって全く関係なくなる、夢のようなスプレー」
しかも見た目は決して固そうに見えない。さらさら柔らかそうなまま。

「だけど台風並みの強風に吹かれると、私みたいな長い前髪はね…」
彼女はそっと眼帯を撫でた。
その他
公開:22/02/27 23:01

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