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少年が歩いていた。

少年は泣きながら歩いていた。

苦しいことがあったから。

辛いことがあったから。

少年は悲しくて泣いていた。

そして、とうとう、歩けなくなって立ち止まった。

辛くて苦しくて、下を向いた。

少年の瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちた。

そのときだった。

「……ぅ…」

声が聞こえた。 少年は辺りを見回すが、誰の声でもなさそうだ。
もう一度、耳を澄ます。

「…ぅ…とう…」

下だ!下から声が聞こえる!!
少年が下を見ると、そこには小さな植物たちがたくさん顔を出していた。そうして口々にお礼を言っているのが分かった。でも、なぜ?

「あなたの涙のおかげで、私達は潤うことができました。ありがとう!」

それを聞いて、少年はとても嬉しくなった。

少年の瞳から、今度は嬉し涙が溢れた。

温かくて優しい涙に、植物たちは葉っぱを揺らして喜んだ。
その他
公開:22/02/27 19:51

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