四十九日

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——キーガシャン。
この音を聞いて以来、私には不思議な能力が備わった。人の死期がわかるようになったのだ。道行く人の頭上に「四日」とか「十九日」とか、文字が見えるのだ。「四十九日」より大きな数字は見たことがないので、恐らく見える寿命日数はそれが限界なのだろう。
それにしても、世の中自分の寿命を意識していない人が多すぎる。先日、30代のサラリーマンの頭上に「八日」と見えたので教えてあげたのだが、まだ若いからと高をくくっていたのか無視された。そのサラリーマンは八日後に交通事故で亡くなった。20代のOLの頭上には「一日」と見えたのでかなり強く言ったのだが、こちらを見向きもしなかった。まあ私のことを不審者だと思ったのかもしれない。そのOLは翌日通り魔に襲われて亡くなった。
あの音を聞いて四十八日後。
どこからかお経が聞こえる。私の体が透けてくる。
どうやら私は、もうこの世の者ではなかったらしい。
その他
公開:22/02/26 17:00
四十九日

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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