三つ目族の流行

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近頃は技術の進歩により三つ目族と呼ばれる輩が増えた。彼らは自分のおでこに第三の眼を埋め込み、違った角度から世の中を見ている。米寿を迎えたわしにはもはやついていけない世の中じゃ。

専門用語では「強化視覚」と呼ぶそうだが、三つ目は2種類の型に分類できるそうな。ひとつは人工眼球をヘッドライトのように頭にくくりつけ、いつでも取り外しができるもの。もうひとつは額にメスを入れ、直接縫い付けるタイプで、孫に言わせると後者の方が高性能らしい。

「目に写るものの詳しい情報がすぐにわかるんだ」
夏休みに帰省した孫の額には三つ目がキラリと光っていた。
「で、わしはどう写っている?」
「本名や年齢、出身地、略歴なんかが見えるよ」
「そんなの、三つ目になる前から知ってるじゃろ」
「誰にも聞かなくていいのが楽なんだよ」

これは何も三つ目に限った話ではないが、会話が減り、すっかり寂しい世の中になってしもうたな。
SF
公開:22/02/26 14:39
更新:22/02/26 14:39
おじいちゃん コミュニケーション

アカサカ・タカシ( Chicago )

2022年から米国シカゴ在住。

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