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今日は新しい彼氏と釣りをしに海へ来た。
「あ! 来たかも!」
私の釣竿がしなる。ところが、釣れたのは小さな靴下。
「なんだよ」と彼が言う。
再び釣竿を投げる。
「また来た!」
私の釣竿がしなる。ところが、釣れたのは小さな手袋。
「またかよ」と彼が言う。
靴下も手袋も、見覚えがある。どこで見たのだろう。
「お、来た! これは大物だ!」
今度は彼の釣竿がしなる。リールを巻く度、魚のシルエットが大きくなる。……魚? いや違う。
「うわぁぁぁ」
彼が腰を抜かした。釣れていたのは小さな子ども。
「……私の息子よ」
靴下も手袋もこの子のものだ。——1ヶ月前の記憶が蘇る。わがままばかり言うから暴力を振るった。一瞬の出来事だった。息子の息はなかった。そして私はこの子を川へ捨てた。川で手についた血といっしょに私が犯した罪も綺麗に流したはずなのに、どうしてなのよ!
目が覚めた。あれから毎晩、私はこの夢を見る。
ホラー
公開:22/02/21 17:00
釣り 怖い話

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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