釣られる

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気づいたらぼくは海の中にいた。家の中が寒くて身につけていたはずの靴下も手袋もない。
海面から顔を出すと、少し遠くにお母さんが見えた。隣にいる男の人は誰だろう。2人とも手に何か持ってる。そうか。釣りをしてるんだね。そういえば、ぼくが釣り番組をよく見ていたら、お母さん釣竿を買ってきてくれたね。今お母さんの手にあるのがそれ。ぼくもお母さんの隣でしたかったな。お母さんの隣で、大きな魚釣りたかった。
お母さん、気づいて。こっち見て。もうわがまま言わないから。いい子でいるから。
そうだ、ぼくが釣られたらお母さんに気づいてもらえる。魚に比べたらちょっと重いから隣の男の人の針に引っ掛かろう。
いてっ。針痛いよ。でも、もうすぐ……会えた! ん。どうしてそんな青ざめた顔してるの? ……そうか、もうぼくはこの世にいないのか。これはお母さんの夢の中なんだね。
でもここなら会える。なら毎日釣られにくるよ、お母さん。
ホラー
公開:22/02/22 17:00
釣り 怖い話

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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