悩める貯金箱

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鮮銭店にらっしゃいと威勢のいいダミ声が轟く。
貯金箱母さんは
「五百円玉をいただこうかしら」
「今日ご主人開封日だっけ。良いの入ってるよ」
「あと百円も5枚頂戴」と千円札を出した。
「おまけしとくよ」と袋に6枚入れた。

「ただいまー」の声にチャリンチャリンと貯金箱坊やは玄関に走った。
「だいぶ貯まってきたな」と父さんは坊やを抱っこする。
「こら。父さん今中身空なんだから」と母さんは坊やを諭した。

「ご馳走だ」と父さんは投入口へ五百円玉を入れた。
美味いと満面の笑み。
母さんは坊やの投入口へ百円玉を入れた。
「貴方。現金が減ってきてるって本当?」
「ああ。最近電子マネーの勢いが凄い。現金の需要が落ちてるのは確かだ。職場でも対策に奔走してるよ」
「私達も仮想通貨に両が…」
「待て。3丁目の招き猫さん一家が仮想通貨に変えた途端、蒸発したって噂だ」
「まあ。小判は持ち続けるべきなのかしら…」
ファンタジー
公開:22/02/18 11:28
更新:22/02/18 13:26

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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