質問があります！

夢と現実の狭間でそいつは私に声をかけてくる。
『質問があります！貴方は金持ちになったら夢が叶うと言いましたが貴方の夢は何ですか？』
毎日だ。何カ月も前からそいつと来たら俺を質問攻めにしてくる。もういい加減にしろ！
夢？それこそ金持になる事だよ！金があれば何でもできるんだ！これ以上の夢はないだろう！
『分かりました。質問に答えて頂き、ありがとうございました』
俺は溜息を吐く。どうせ明日も質問してくるのだろう…だが翌日、そいつは現れなかった。翌々日も、翌々々日もだ。
こうなってくると寂しさすら覚える。何かあったのだろうか？
気になり、夢と現実の狭間で初めて私から声をかけてみた。
『もう聞きたい事はありません。さようなら』
冷たく答えられ、遠ざかって行く背中。それはまるで飼い猫が遠くに行ってしまうようにも感じた。
目を覚まし、枕元の招き猫を見るとそいつはお手上げと言わんばかりに両手を上げていた。