前世はヘビ

「あなたの前世はヘビです」
ふらっと立ち寄った占いの出店で、俺はそう言われた。よく当たる占い師と評判だから行ってみようと同僚に誘われ行ってみたが、なんとバカバカしい。近くに喫煙所があるせいかなんだかタバコ臭いし、俺は金を払ってその場を去った。
帰宅後、家族にそのことを話した。
「あぁ、たしかにパパの前世ヘビかも。見た目ひょろっとしてるし」
中学生の娘が言う。それを聞いた妻も、
「そうね。辛いもの食べたときとかよく舌を出してるし」
はいはいと俺は受け流した。
ある日、テレビを見ていた。
「次のうち、ヘビが嫌いな匂いはどれという問題。正解はCのタバコでした」
へぇ、と驚いた次の瞬間、何かが目から落ちた。落ちたものを見ると、透明な鱗のようだ。
「ちなみにヘビの目は鱗で覆われており、脱皮の度に目から鱗が落ちるのです」
テレビの音声にハッとした俺の目から、また、透明な鱗がポロリと落ちた。