ピーマンはくすぐったい

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今日は野菜炒めにしよう。私は野菜を買ってきた。人参等を洗う。そしてピーマンを洗った時だった。

「あはっ……あははっ!!くすぐったいよぉ……」
「へっ!?」

ピーマンが喋り出した。
しかし今日は野菜炒め。このピーマンを洗わなければ野菜炒めが作れない。
私は再びピーマンを洗う。

「あはは。あはははは。や、やめてよぉ……。くすぐったいったらぁ……」
「…………」

私は無言で洗い続けた。見ていない。何も見ていない。ピーマンが喋るはずがないんだ。これは幻聴だ。

洗ったピーマンをまな板に乗せてカットしようとする。

「包丁怖い。やめてよぉ……。危ないよぉ……」
「……あんた喋れるの?」

私は生まれて初めてピーマンに声をかけた。

「喋れるよ。当たり前じゃないかあ」
「いや、ピーマンは喋らないから。切りにくい」
「嘘嘘♪美味しく食べて欲しいな。さあやっちゃって」

私はなかなか切れなかった。
公開:22/02/16 10:21

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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