チョコ乞い

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2月14日は、僕が片思いをしていた女性の命日でもある。
一度だけ目があった時に笑いかけてくれたけど、ひょっとして彼女も僕の事が好きだったのかな……なんてね。

そして、この日はチョコ乞いの日でもある。
天国の住人からのチョコを届ける為の儀礼、それがチョコ乞いだ。
今回、僕は初めて立ち会う事になる。

祈祷師が、幣串がポッキーになっている御幣を振り祝詞を唱えると、次第に空は曇りだし、チョコの雨が降り始めた。
まるで、型に流す前の手作りチョコの様にドロドロで甘い。
もしかして、これが彼女からの……。

やがて雨は止み、空には僅かに白い雲が残った。
だがその雲は、本命チョコの上の、ホワイトチョコのチョコペンで書かれた文字の様に、ハッキリと読めたのだ!

毎朝仏壇に御供えありがとう
先祖一同

義理だった。
ファンタジー
公開:22/02/12 22:11
更新:22/02/12 22:18

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