0
2

俺は子供の頃、父親におんぶされるのが大好きだった。
一緒に散歩に出かけては、「もう歩けない」と駄々をこね、父におぶられて帰った。

俺は今、父をおぶって家路につく。父は仕事帰り、社会人となった息子と一緒に酒を飲む事が楽しみだったようだ。まったく…酔い潰れるまで飲むなっての…
とはいえ、昔はあんなにも大きかった背中が今じゃ俺の背中に収まっていると思う感慨深いものがある。
父の体は軽く、あの頃と立場が逆転したな…と思うと笑みがこぼれる。
でも俺、知っているんだぜ。父さん、孫が生まれた時の為にこっそり筋トレしているんだろ?
父はまだまだおんぶを卒業する気はないらしい。
俺もまた、卒業させるつもりはない。父とはライバル関係でありたい。
子どもの頃からの憧れだからこそ、その背中に追いつくだけじゃ満足できないんだ。
父さん、見てろよ。いつかその背中ごとおぶってやれる大きな男になってやるからな。
公開:22/02/12 20:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容