バレンタインデー

「これ、武に渡しておいてくれない？」
２月１４日。放課後、恵に呼び出された俺は奈落へと叩き落された。
それはどう見ても本命チョコ。恵…お前、武の事が好きだったのか…
てっきり恵は俺が好きだと思っていた。俺も恵が好きだ。だから、いつか告白しようと思っていた。
そうか…全部俺の思い込みだったんだな…
何も考えられない頭でのろのろとチョコを受け取り、家に帰る。
「武に渡して」と言われた箱を勝手に開け、チョコを口にする。
凄く美味いのになんでかな…涙の味がする…

「おはよ。どう？チョコ美味しかった？」
２月１５日。通学路で恵が俺に声をかけてきた。
焦る俺。何で知っているんだ？武に聞いた？そうだとして、何で怒っていないんだ？
「昨日のチョコ、あれ本当は君の為に作ったものだよ。君の性格から考えると武に渡さず自分で食べたんだろうな～っと思ってね。奪われたくないんなら早く告白しないと手遅れになるわよ」