恋の植物

花屋で見つけた恋の果樹。大事に大事に育てたおかげかバレンタイン直前、ついに実を付けた。
この実は私の想い。幼馴染への恋心。私はチョコの隠し味に恋の実を入れ、彼に渡すつもりだった。
だがその恋の実が盗まれた。たった一つの想いの実が奪われた。
想いの籠っていないチョコなんて渡せない…心を折られた私は当日、チョコを持たずに家を出た。
学校でチョコを貰う彼を横目に一人隠れて悔し涙を流す。
そんな私を心配して放課後、彼が花束を手に私の家を訪ねてきた。
何で花束？と首を傾げる私に彼は教えてくれる。
「フラワーバレンタイン。２月１４日は男性が女性に花束を贈る日でもあるんだ」
そうなの？
「俺もよく知らんけどそう言われた。何があったか知らないけど元気出せよ」
彼は私に花束を渡すと帰ってしまった。
貰った花束を見る。中に恋の花が一輪潜んでいた。
それを見てチョコを持つと彼の家に急ぐ。告白する覚悟が決まった。