ごぜんさま

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「御前様」という呼称は、ザックリ言えば位の高い僧侶に対し尊敬の念を込めて使われる。
だから映画「男はつらいよ」シリーズでは柴又帝釈天のお上人は御前様として登場する。
元々は、大名や高家の奥方を敬っていうのに、用いられた尊称である。

酒好きな男が接待だとかノミニュケーションだとか理由を付けては、連日連夜日付が変わってからのご帰還だ。
当然家庭内に波風も立とう、奥さんが帰ってきた旦那に、また今夜も午前様ね、結構なご身分ねと、皮肉を込めて言いながらも、しかたないねと諦めている姿が目に浮かぶ。
そうなると旦那は勘違いから、増々俺も偉くなったなあ「ごぜんさま」と呼ばれる身分だと有頂天だ。
高貴な身分の方は「御前様」,自分は「午前様」と言われているのに、呑気なもんだ。

近年は、奥様を無視して飲み歩く豪傑もめっきり減り、また旦那を目上として敬う風もなく、午前様の帰りを待つ奥さんもまれになった。
ファンタジー
公開:22/02/14 15:43

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