海溝・かいこう

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ネズミ駆除の為に飼われた子猫は

ヨモギ色の三毛猫なのでヨモと名付けた。


排便用の砂は乳飲み子のヨモでも

すぐに覚えた。


皿に注いだ牛乳を口を泡だらけにして

飲み干していた。


中学から帰ると、

毎日待ちかねたかのように首のあたりまで

飛んできて甘えた。



親父はヨモを邪険にしか扱わなかった。


ある意味家族に対しても。


親父は学校の用務員で、

生徒からひょうきんオジサンと親しまれたようだが

家に帰ると豹変し、日々暴言で接した。



荒口調でヤクザまがいだった。



友人従兄などは皆一様に信じられない、を繰り返した。



私は就職で家を離れることになった。


暫くぶりに帰省してヨモのことを母に聞くと


信じられない言葉が返ってきた。



親父が殺してしまったというのだ。


私はこの一言で親父への殺害妄想が毎夜、


繰り返された。
ミステリー・推理
公開:22/02/14 14:24

新 武( さっぽろ )

誰にも書けない短編の連続、あなたの心に幸せのイマジネーションを。
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生き方が変わる映画の紹介ですぞ。
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