ええねん

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坊さんだった祖父が亡くなった。
葬儀は遺言に従い、祖父の知り合いのコテコテの関西人が執り行う事となった。
関西人は遺言に従い、祖父のノートを御経代わりに読み始める。
「俺はモテたかったねん!金持になりたかったねん!イケメンになりたかったねん!」
…はぁっ?何言ってんだコイツ?
これが祖父が頼んだ念仏?雑念と邪念に塗れたそれは聞くに堪えない。関西人を皆が止めようとした。
「隆へ。頑張らなくてもええねん。勝へ。責任感じなくてもええねん。翔子へ。結婚できんと焦らんでもええねん」
父と伯父叔母が動きを止めた。
「浩二へ。好きな事やったらええねん。香へ。自分を信じたらええねん」
いとこの名前が呼ばれる。そして私の名前も呼ばれた…
「引きこもってもええねん。いくらでも悩んだらええねん」
それはいつでも私の味方だった祖父の言葉だ。
「皆、笑っていれたらええねん」
そう締めくくられたお経。ええ念仏でした…
公開:22/02/10 20:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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