宝くじ１等に当選した男（平行世界）

では、確かにお渡ししました。
銀行の奥、宝くじに当選した俺は、高額な賞金と、「【その日】から読む本」を渡された。
せっかくの大金だ。高級車でも乗り回そうかと思うが、どうもお金が泣いているような気がする。
どうせならお金が喜ぶ使い方をしたい。そうだ。せっかくだから世界一周旅行でもしていろいろな経験を積んでこよう。

こうして俺はカタコトの英語や身振り手振りを武器に世界中のあちこちを旅して回った。

宿がなく困っていた俺を快く止めてくれた老夫婦。やたらと日本のことを聞きたがるアニメTシャツをきたアメリカ人。
俺のために鶏をしめてご馳走してくれた家族もいる。

いきあたりばったりの旅だったがその分多くの人間や文化とかかり合うことができた。

帰国した俺は起業し、海外から珍しい商品を買っては売りさばいた。
まさか旅行でできた縁がこうして生きるなんてね。今じゃ年商数億だよ。忙しいけど充実している。