金色の犬

2
3

犬のペロが死んだ。急な事だった。持病はあったが、前日まで食欲もあり、俄には信じられなかった。家の前にペットの出張火葬車が到着し、ペロは白い何かに姿を変えた。

焼かれる前、ペロの金色の毛を少しまとめて切り取った。ある日、その金色の毛を眺めながら、ふと1本だけ線香の火にあてた。すると、耳が三角に切れた金色のペロが姿を現した。幻でもよかった。

それから時々、線香の火に金色の毛をあてた。すると、間違いなくペロは現れて、温かな体を寄せてきた。とうとう、金色の毛は最後の1本になり、本当のお別れをした。ペロは楽しそうに口角を上げていた。

外は風が止んで、春を思わせる陽が差していた。私は玄関を出た。すると、そこに一匹の犬がいた。犬は、薄汚れて腹ペコのようだった。私は風呂場に連れていき、石鹸で洗ってやった。湯で流すと、そこには耳が三角に切れた金色の毛の犬がいた。

ペロではないだろう。でも…。
その他
公開:22/02/10 00:27
更新:22/02/10 01:03

kidohe

「蝋燭」が人生初作品、初投稿です。
よろしくお願いします。

普段は、韓国(アジア)ドラマ・映画の字幕監修者として働いています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容