白玉を踏む

6
3

彼が私を抱きしめるとき、彼の足は私の足の上にある。私の足の甲にはいつも白玉がのっていて、彼はその白玉を踏んづける。私を踏んづける。
彼はハウメアからやってきた炭化系人類。絶えず足の裏で白いものに触れていないと炭化してしまう体質で、地球にいるときはいつもラインカーを買い物カートのように転がして、新鮮な白線を素足で踏みながら過ごしている。
昔は炭化系人類が地球で働くには困難が多かったが、今は炭化に対する地球人の優しさが深まっていて、彼もパティシエとして働けるようになった。ラインカーさえあれば移動は簡単だし、厨房には白い食材が多いから心穏やかに過ごせる。何より今の職場には私がいる。
私はマケマケからやってきた炭化系人類の第一世代。マケマケの炭化系は足の甲に白が必要だから、私はいつも足に白玉をのせている。
仕事おわりの厨房。ふたりきりになると彼はそっと私の靴下を脱がす。そして白玉を踏むの。強く。
公開:22/02/09 16:15
更新:22/02/11 06:11

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容