報道

『皇帝』と呼ばれた医師の飛び降り自殺を皮切りに、人喰い病院の実態が明らかになった。
　告発文とも取れる遺書には、克明にその真実が綴られていた。
犯罪者や凶悪犯を院内に囲い「人生ドナー」と呼ばれる患者たちと姿形を入れ替える整形手術が行われていたのだ。その他に死体の顔を変え、逃亡犯の死を偽造していた疑いもあるという。ドナーにはまだ幼い子供も多く存在し、世間に大きな波紋を呼んでいる。
　人喰い病院事件はその発覚後、大規模な捜査が行われたが、闇手術の関係者は自殺した医師の他には誰一人として捕まってはいない。院長をはじめとした関係者たちには指名手配がかけられているものの、顔を変えている可能性が高く、捜査は難航している。命をかけた医師の告発が報われる日は来るのだろうかーー

そんなスマホ記事から目を移した配送業者は、自分の目を疑う。

すれ違った男の顔は
以前病院に運んだ死体の男に間違いなかった。